コレクション: 戈羽彤 YuTung Ko

戈羽彤 YuTung Ko 代表作「She Looks」

代表作「She Looks」

戈羽彤 YuTung Ko(1999年生まれ、台湾)

近年注目を集める若手アーティスト。東海大学美術学科を卒業し、膠彩画とミクストメディアを中心に、物質性と観念性を併せ持つ視覚言語を展開しています。岩絵具、金属箔、幾重にも重ねられた表面の質感によって、身体・記憶・時間のあいだにある曖昧な場を構築し、繊細さと侵食、柔らかさと硬さが同居する画面を生み出しています。

制作の主なテーマは「女性の身体」「アイデンティティの構築」「内的経験を語る言語の限界」。女性を単一の記号として捉えるのではなく、解剖学的なまなざしで身体を骨・肉・皮膚の層へと分解し、心理、記憶、社会的規範の重層的な構造に対応させます。「制服」「装飾」「皮膚」といった要素は、外的な規範を示すと同時に、個人がその枠組みの中で交渉し抵抗し続ける姿を暗示します。

また、言語や命名のシステム、とりわけ「ヒステリー」のように女性の感情や行動を症状へと単純化してきた歴史的な分類にも関心を寄せています。それらの抑圧的な言語構造を、冷静でありながら不安定、沈黙しながらも語り続ける、緊張感に満ちたイメージへと変換します。繰り返し現れる人形、空虚な表情、儀式的な姿勢は、自意識と見られることのあいだにある存在を形づくります。

素材の扱いでは時間の蓄積を重視し、珊瑚のように層を重ねて形を成す構造を重要なメタファーとしています。現在は過去の痕跡の上に成り立ち、生と死、生成と風化が同じ表面に共存しています。近作では「宣言」「移動」「証言」などのテーマへと展開し、理解したうえでなお行動を選ぶ個人のあり方を問いかけています。

台湾各地で個展を開催し、One Art Taipei をはじめとするアートフェアや国際グループ展にも参加。現代膠彩画とミクストメディアの分野で確かな存在感を築いています。

IG @koyutung.art